2008年8月3日日曜日

医療機関での治療

取り組みの拠点として医療が存在することの意義は、「ひきこもり外来」の有効性が証明しています。一般外来の合間に開始された「ひきこもり外来」の当事者受診は、7年間に125名を数えました。

医療の利点は、ひきこもり状態が精神病性か否かの見立てを、迅速に行える点にあります。統合失調症とそれ以外のひきこもりでは、治療法が異なります。

ガイドライン(2003)に、「家族による自己診断を尊重する」という一項がありますが、ひきこもり外来の経験から、ひきこもり状態を抱える家族には、精神病性か否かを見分けることが困難であることが判明しました。

医者にとっても、親の話からだけでは、見立てのつかないことや、当事者を診ただけでも見当がつかないこともあるのです。

統合失調症の解体型を疑った19歳青年の場合は、抗うつ薬で改善を示したことから、うつ病と判明しました。

近所で悪口を言われていると興奮した40代男性は、一時的な幻覚妄想でした。

興奮状態の続いた30代女性は、親の意見に相違して、統合失調症と診断されました。

興奮状態によって入院した30代男性は、栄養障害からと思われる脳委縮と知的低下をきたしていました。

このように、社会生活が失われたケースでは、当事者を見立てることが専門家にすら困難な場合があるのです。

従って、単なる「社会的ひきこもり」として楽観的に訪問することが誤りであると共に、すべてを精神病のようにみなして危険視することも誤りなのです。

「社会的ひきこもり」という言葉を信じて、医師による診断や治療を不要なものと考え、家族教室に参加するうちに、統合失調症が進行してしまったケースもあります。

ひきこもりの開始(きっかけ、原因)が統合失調症による場合には、早期受診による病気の進行防止が大切になります。

ひきこもりを診療する医師が各地で増えています。ひきこもりの病理研究が進んで、治療の可能性が明らかにされることで、医療による対応はさらに広がると推測されます。

ひきこもりを治療可能なものと位置づけて、「ひきこもり対応ができる医療」を育てていく必要性は高いと思われます。

中垣内 正和(著)『ひきこもり外来』から要約しました。

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