ひきこもりから脱した直後(出会い期)には、大歓迎という形で、「出会いの喜び」が示されます。
大歓迎される理由は、普通の生活の中からではなく、ひきこもりという特別な状況から、勇気を出して訪れてくれたからです。緊張・不安・ためらい・動揺を越えて、勇気をふるって家を出てきてくれたからです。
どの当事者も、長期間の葛藤と、「ひきこもりを終わらせたい」という気持ちを持っています。そのような状況下で、「初めて出会う」第三者として選ばれた側に、喜びがないはずがありません。
これは、受けとめる側にとって、感激以外の何ものでもないのです。第三者として選ばれた側は、感無量の気持ちを素直に表現します。
治療側の対応として、自らの感情を出さない「隠れ身」と、その反対の「破れ身」がありますが、当事者の「大いなる隠れ身」には、治療者の「大いなる破れ身」が効果的です。
特に最初の出会いは、互いの信頼関係を作り出す貴重な時間になります。行動の変化は、治療の初期の段階で生じる可能性の高いことが知られています。
当事者の多くが、過去に医師を訪れ、傷ついた経験があることにも配慮する必要があります。受けとめる側は、そのトラウマを考慮して、熱烈歓迎を示すのです。
出会い期における無条件の一体感は、「ひとり対ひとり」(1対1)の信頼関係を作る基礎になるだけでなく、「ひとり対大勢」(1対多)関係の基礎も作ってくれます。
1対1は、誕生直後の母親との関係からスタートする基本的な人間関係です。思春期になると、1対1の複数化が開始され、「1対多」の世界へと広がっていきます。
ひきこもりは、「人の目・周囲の目を過剰に気にする」ことによって、1対1へと後戻りしてしまった状態です。
ひきこもりから出てきた直後は、ほとんどの当事者が「1対1なら可能ですが、大勢は苦手です」と対人不安を口にします。
この当事者の現実から、話し合い・カウンセリングが開始されるのです。
中垣内 正和(著)『ひきこもり外来』から要約しました。
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