これは、10年間ひきこもり、後に大学院を修了した30代の当事者の言葉です。ひきこもる行為自体がひきこもりを深めるという、ひきこもりの本質を表した言葉と言えます。
人目を気にすることによって、人目はますます気になるようになります。人目を避けることによって、ますます人目を避けるようになります。
「部屋を掃除してから出る」という決意は、部屋を掃除する行為を反復することになります。
これらは、社会不安障害(対人恐怖)や強迫性障害に見られる心理ですが、逃げるほどに影は大きくなって、さらに逃げたくなる、そしてさらに追っかけられる、そんな神経症(ノイローゼ)の悪循環のメカニズムが働いてしまうのです。
この段階では、社会や他人に対する関心が失われているのではありません。
「人目や他人の言動を気にする」「人と会うことを避ける」「人や社会を批判する」。これは、親の会のアンケートから見た当事者たちの心理です。
彼らは、周囲への関心を十分に保っているのです。その上で、「出たいが出られない」「出るに出られない」という状況にとらえられています。
これらの言葉は、社会や他人への関心を保ちながら、身動きがとれない、ひきこもりの矛盾した気持ちを表しているのです。
中垣内 正和(著)『ひきこもり外来』から要約しました。
2008年9月5日金曜日
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