2008年10月17日金曜日

体験を伝えることの喜びを知った

当事者が、自分の体験を他者に語るのは、とても重要なことです。重要という意味は、2つあります。一つは、「自分のため」です。もう一つは、「他者のため」です。

親には、「家族エゴイズム」が出やすく、わが子が、ひきこもりから回復してしまうと、それですべて解決と思いがちです。

しかし、当事者は、そうはいきません。アルバイトをしたり、学校に行ったり、恋人を探したりと、「人の輪」を広げていく中で、多くのアドバイスを必要としています。

そのアドバイスを受ける相手は、「ひきこもりの先輩」であり、居場所に集う「友人」たちです。
そうした先輩や友人たちは、共通の体験を持つ場合が多く、生きたアドバイスを受けることができます。

そして、アドバイスを受けて社会へ出て行った当事者は、再び居場所に戻って来て、後輩たちにアドバイスすることになるのです。

自分がひきこもりから出た話をするだけでも、まだ悩み苦しむ人たちにとって、大きな福音となるのです。

当事者の抱える特有の困難さは、ひきこもり期間の分だけ社会経験が少なく、対人場面での臨機応変な応対が苦手ということにあります。

しかし、それでも構わないのです。「話を聞いてもらう」「話を聞く」ことが、重要だからです。その会話自体も、経験なのです。

居場所のリーダーやサポート活動ができる人には、多くの共通点が見受けられます。

ひきこもり期間が10年以内、脱出時の年齢が30歳前後の当事者が、自分の経験を生かして他人を支援する側に回りやすいと言えます。

会社員など社会参加の経験があること、社会不安障害・うつ病・摂食障害などの経験があること、アルコール依存症の自助グループなどの参加経験があることなどは、活動に生かすことができます。

経験を生かしてサポート活動を行なうことは、「自助グループ活動」「ピア・カウンセリング」の精神に通じるだけでなく、「ピンチはチャンス、危機こそ好機」という強い生き方を実践することにつながるのです。

中垣内 正和(著)『ひきこもり外来』から要約しました。

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