人には「学びたい」という願望は、いつまでも残るようです。
特に、小中学校の不登校から長年ひきこもった場合には、高校進学が一般的になっていますので、「高校卒業の資格を取りたい」という思いが強く残ります。
小学4年から11年こもったA君、中学2年から17年こもったB君、中学3年から22年こもったC君は、「高卒資格認定校」へ通い、「高卒認定資格」を取得しました。
どちらかと言えば、ひきこもりからの脱出後には、就労より就学の方が取り組みやすいと言えます。「大検制度」から「高卒認定資格」に移行したことが、取り組みやすさを増しました。
現行の通信制や定時制は、年齢主義の息苦しさを十分に乗り越えておらず、就学期間の長さに対する配慮も不足しています。
東京都などでは、中退者が再挑戦するチャレンジスクールがスタートしましたが、競争率が高いという問題を生じました。
人口80万人の新潟市に、高卒認定コースの学院が複数あり、数百名の生徒が在籍する状況は、このコースが、第二の高等教育として公認されたことを示しています。
学歴別で最大層である高校中退群は「再チャレンジの意欲」が強いのが特徴で、大学中退群が大学卒業資格にこだわることがないことと対照的です。
高卒認定資格を取得したのちに専門学校や大学に進学した人、さらに、司法試験・公認会計士・税理士資格などを目指す人もいます。
彼らにとって、ひきこもりを脱することは、「希望の学び」と「希望の職業資格」に直結しているのです。
企業が、不況終了後も新卒採用にこだわわる中で、「年齢主義」を越えて学ぶことは、新しい時代の新しい学びの精神と言えます。学問と年齢はつながらなくなっている欧米のスタイルに近い「新しい学び方」なのです。
高卒無業の場合には、大学受験に失敗して、ひきこもったケースが目立ちますが、その失意を周囲がでれだけサポートできるかが、その後につながります。完全主義を乗り越えて、「合格水準に達していないから不合格は仕方ない」と思考転換することが大切です。
新しい土地と大学のクラスに馴染めないまま、ひきこもる大学生も目立ちます。大学休学のケースでは、社会不安障害や挫折体験から、うつ病へと進むことが多いようです。
アルバイトに精を出すかつての学生と違い、大学生のひきこもりのケースでは、ほとんどが仕送り生活です。
高校も大学も第一学年目に中退に至るケースが多いことから、「中一ギャップ」「高一ギャップ」に加えて、「大一ギャップ」までも存在すると言うことができます。
大卒無業は、就職氷河期世代に多く見受けられます。ある若者は、「企業への就職の競争率が百倍にも達する実情から、意欲を失った」と述べました。
都会で就職できず、地元へ戻っても、若者の集まりがないことから、家にいるしかなくなり、ひきこもったのです。
就職氷河期にまみれた25歳から35歳の世代に、フリーター・ニート・ひきこもりが大量に出現したことから、若者サポートステーションなどの若者福祉が行なわれるようになりました。
この世代は、文科省の定員増加策によって、学生数が多い年代にあたります。フリーター・ニート・ひきこもりの就労対策は、もっと大規模に、もっと根本的に行なわれる必要があります。
当事者の3割は、高校や大学を卒業して、就職就労した後のひきこもりです。
社会生活での挫折やうつ状態などによって退職に追い込まれ、回復後にも参加する場所がないままに、世間の目を気にして、ひきこもったケースが多いのです。
社会復帰のプログラムは、統合失調症やアルコール依存症などでは盛んですが、うつ病からの社会復帰プログラムや家族教室は存在せず、医師や心理カウンセラーの個別的な精神療法に委ねられているのが現状です。
挫折体験に対するカウンセリングや社会復帰プログラムの充実が求められるところです。
中垣内 正和(著)『ひきこもり外来』から要約しました。
2008年10月2日木曜日
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