2008年7月27日日曜日

神経症が進むことに気づいた

親たちは、不登校・ひきこもりの原因を、いじめや教師との軋轢などに求める傾向があります。しかし、対人関係や対人不安の問題が、いじめより多く、思春期の社会不安障害やうつ状態の問題も、不登校の発生に大きくかかわっていると思われます。

不登校やひきこもりに陥った人を、すべて「正常心理」でとらえようとすることは、精神主義的にすぎると思われます。

不登校やひきこもりの過程で、「正常心理」を見失うこともあること、思春期の心の病によって、不登校やひきこもりに陥ることがあることは、医学的に見て当然と言えます。

ひきこもり外来を訪れた125名の8割以上に、ごく軽い疾患も含めて、精神医学的な診断をつけることが可能でした。

かなりの高率で、抑うつ状態や社会不安障害(対人恐怖)が先行することが明らかになったと言えます。不登校やひきこもりの過程で、精神症状をきたす場合もあります。

不登校の好発年齢である中学1年を対象にした統計調査では、4%の生徒に抑うつ症状が認められたという報告がなされています。

生まれて初めて心身ともに不安定化する思春期・前青年期において、うつ状態や社会不安障害をきたしても不思議ではないのです。

思春期のうつ状態や社会不安障害の知識が、親にも教師にも不足するままに、心の病が見落とされてしまう可能性があります。

18年ひきこもった青年は、「過敏性大腸」の症状が不登校の当初から存在し、ひきこもり期間中もずっとあったと述べています。これは、早期発見・早期対応があれば、予後が違っていた可能性を示すケースと言えます。

うつ状態や社会不安障害は、不登校やひきこもりによって、さらに悪化することがあります。摂食障害などのわかりやすい症状を伴う疾患ですら、親も教師も気づかないことがあります。

授業中に「本を読みなさい」と指されて、過度の緊張から、ふるえ・動悸・発汗をきたし、不登校・ひきこもりになった男性は、22年後に支援者の援助によって来院するまでは、社会不安障害の存在について気づかれることはありませんでした。

ひきこもりに合併するうつ病が、普通のうつ病(定型うつ病)と症状が異なる可能性もあります。過食・過眠・昼夜逆転・批判への鋭敏さ・回避行動などは、典型的ではないのですが、うつ病の可能性があるのです。

社会不安障害の回避行動として、ひきこもった場合に、うつ病・うつ状態になる可能性は高くなります。

当事者が、ひきこもりの中で、神経症・うつ病・摂食障害を進行させること、長期化の中で、パーソナリティ障害として先鋭化することなど、親にも周囲にも極めてわかりにくい点です。

ひきこもりは、医師の元を訪れることが極端に少ないために、医学的な研究・医療現場でも認識されにくい状態にあり、今後の医学的な解明が待たれるところです。

中垣内 正和(著)『ひきこもり外来』から要約しました。

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