2008年7月26日土曜日

成人後の同居主義

日本の核家族は、成人後の子供の別居を原則とすることができませんでした。

核家族が60%を占めるようになった今、むしろ親たちには、わが子との同居を期待する「大家族願望」すら残っているようです。

親の同居願望は、大家族制への郷愁と共に、夫婦関係づくりに不慣れな点にあると思われます。

成人した子供との同居の増加は、結婚しないままに親元で生活する「パラサイト」現象に見ることができます。大家族制では、親子同居はごく自然のことでした。

大家族を否定して核家族をつくった親たちが、成人した子供との同居を否定しないことは、戦後核家族の限界と言えます。

夫の妻依存が強まる中で、「夫の世話から離れたい」妻の願望による熟年離婚は増えていますが、子供の同居によって離婚をさけ、「家庭の寿命」を延ばすことも可能になります。

成人後の別居を原則とする文化圏では、若年失業などの経済的理由からの同居が増えても、ひきこもり問題は基本的には成立しないと言われています。

大家族制の残遺である「成人後の同居主義」が、ひきこもり問題を発生させ、「ひきこもる」わが子を家から出すことをためらわせるのです。

多くの母親は、わが子を家から離したくない本能的な願望と、出さないと一人前にできないという罪悪感の間で引き裂かれています。

本来は、青年期に達したわが子を家から出して社会化することは父親の役割です。10代以降の進学や就職の世話を、母親ひとりで担うこと自体が誤りなのです。

「失われた世代」と呼ばれ、バブル崩壊後の就職氷河期にフリーターになった世代は、経済的理由などから親と同居するようになっています。

フリーターからニートへ、ニートからひきこもりへと転ずることほどたやすいことはないという現実と共に、成人後の同居の増大が、今後の日本的家族の行方に大きく影響すると予測されるのです。

中垣内 正和(著)『ひきこもり外来』から要約しました。

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