2008年7月19日土曜日

価値観が共通することに気づいた

「自分たちの社会常識は正当である」という意識が、親たちにあります。しかし、その価値基準を大前提にして、わが子の現状を判断することは、正しいでしょうか?

ひきこもり問題を抱える親たちの7割が、会社員や公務員などの棒給生活者であり、中産階級に属しています。

親たちが社会的に受け入れられた生き方をしてきたことは、ひきこもり問題の特徴の一つと言えます。

親の世代は、経済主義、会社主義、学歴主義、核家族主義など、戦後の経済成長を支えた価値観の担い手です。

しかし、中産階級の弱点は、職業が世襲的でないために、子女が学歴や会社就職を得ないと、同じ生活レベルを維持できないという点にあります。

このために、親には学校・学歴・会社に対する強い思い入れがあり、上昇のための勉学や努力を惜しまないことや、人並みから外れないことを子供たちに求めてきました。

ひきこもりの当事者たちは、親の考え方や期待を熟知しており、ほとんど親の価値基準と同じ考え方をしています。

親の世代とひきこもり年代との間には、30年前後のへだたりがあります。

世紀末の大不況を境にして時代は大きく変化したのですが、親の求める会社主義、学歴主義などの考え方は、驚くほどに親子間で類似しています。

その上で、さまざまな理由から、当事者は親の考え方に反発したり反論したりできないままでいるのです。

当事者には、中学高校の不登校、高卒無業、大学などの中退、大卒無業、会社退職後など、どの段階からひきこもり出したにせよ、親の願う生き方を実現できなかったという挫折感や後ろめたさがあります。

そして、同じような場所や状況に戻ることには、自尊心と自己愛から自己防衛的に抵抗を感じるのです。

「居場所」(ひきこもる若者たちが、束縛なく集える場所)の設置は、ごく近年のことであり、高度成長期を通じて、地域社会には傷ついた若者のたむろする場所はありませんでした。

むしろ、若者が外でたむろすることには、眉をひそめられる向きすらありました。学校や会社で挫折して、自宅にこもらざるを得なくなり、「ひきこもり」と呼ばれるようになったのです。

中垣内 正和(著)『ひきこもり外来』から要約しました。

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